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ピロリ菌の症状

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ピロリ菌ってよく聞くけどどんな症状がでるのか?

最近の胃もたれはピロリ菌の症状かも

ピロリ菌の合併症ではどんな症状がでやすいの?

 

 

このような疑問にお答えする記事を書きました。

 

院長 中谷行宏

私は、月200件以上の胃カメラ、大腸カメラ検査を行っています。

消化器病専門医、内視鏡専門医として診療を行っています。

 

 

慢性胃炎

 

 

ピロリ菌は胃粘膜に感染してほぼすべての方に慢性胃炎を起こします。

ピロリ感染は生涯持続することが多く、

慢性胃炎から萎縮性胃炎、胃、十二指腸潰瘍、胃がん、

胃MALTリンパ腫、胃過形成性ポリープなどの疾患を引き起こします。

 

国内でのピロリ感染者は人口の約35%と低下しているものの、依然として多くの方がおられます。

その他の関連疾患については全員が発症するわけではありません。

 

ピロリ感染による症状

 

ほとんどの方は症状を感じません

ただ、ピロリ菌に関連した機能性ディスペプシア症状がみられることがあります。

 

機能性ディスペプシアとは症状の原因となる疾患がないが、

3か月程度食後の胃もたれ、早期満腹感、心窩部痛、心窩部灼熱感の症状がある状態です

 

 

 

  • 食後の胃もたれ

  • 早期満腹感

  • 心窩部痛

  • 心窩部灼熱感

 

 

 

この症状はピロリ菌感染による症状の可能性があります。

 

このピロリ関連ディスペプシア症状は

除菌治療によって症状が改善する可能性があります。

ピロリ菌感染率の高いアジア地域ではNNT(number needed to treat)

何人治療をすると効果があるかは9とされています。

 

9人ピロリ菌の治療を受けると胃の症状が改善する人が1人はいるということです。

 

ピロリ菌感染は、著明な炎症を起こすことで、酸分泌やガストリンやグレリンなどの

消化管ホルモンの動態、内臓知覚過敏、胃・十二指腸運動などに

影響を与え、症状が発生すると考えられています。

 

これは特にH.pylori 関連ディスペプシアと定義されています。

 

 

ピロリ菌と口臭の関係

 

 

口臭の原因の9割は歯周病などの口の中のトラブルが原因とされています。

残り1割はピロリ菌の感染原因の可能性があります。

 

ピロリ菌によるアンモニアが尿に似たにおいをだしたり、

胃炎による消化不良による卵の腐ったような口臭がすることがあります。

 

 

ピロリ菌関連疾患による症状

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

 

みぞおちの痛みの症状がでます。典型的には空腹時の痛みとされています。

潰瘍が深くなると出血を起こします。

 

出血が胃酸で分解されることで黒い便がでることがあります。

痛み止めの薬が原因で胃潰瘍、十二指腸潰瘍になることがありますが、ほとんどはピロリ菌が原因です。

 

胃がん

 

ピロリ菌の感染による慢性胃炎が続くと胃がんが発生します。

胃がんの99%はピロリ菌が原因とされています。

胃がんが進行すると胃の痛みや体重減少などの症状がでることがあります。

 

その他

 

胃MALTリンパ腫、胃過形成性ポリープ、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、

鉄欠乏性貧血、慢性蕁麻疹などもピロリ菌との関連が指摘されています。

 

 

ピロリ菌の感染率と検査の重要性

 

 

年代ごとのピロリ菌の感染率は現在減少してきています。

 

 

 

  • 20歳以下 10%以下(非常に低率)

  • 40代 20%

  • 50代 30%

  • 60代 45%

  • 70代以上 70―80%(非常に高率)

 

 

 

ピロリ菌に感染しているかどうかは、

今後胃の症状を起こすかどうか、胃がんが発生するかどうかに深くかかわっています。

 

胃がん家族歴の有無に関わらず、ピロリ菌の除菌年齢が早いほど胃がんリスクが減ると報告されています1)。

 

気になる症状がある人はもちろんですが、若いうちに一度胃カメラ検査、ピロリ菌の検査をおすすめします。

 

1)Jung YS, et al.. Cancers (Basel). 2023 Mar 4;15(5):1604.

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