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大腸がんで起こる症状、初期症状とは

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大腸がんで起こる症状、初期症状とは

 

大腸がんってよく聞くけどどんな症状がでるの?

 

できるだけ早く発見したくて。大腸がんの初期症状はどんな症状?

 

便潜血陽性は症状じゃないから大丈夫ですか。

 

 

このような疑問にお答えする記事を書きました。

 

 

院長 中谷行宏

私は総合内科専門医、消化器病専門医として日々診療を行っております。

内視鏡専門医として月200件以上の胃カメラ、大腸カメラ検査を行っています。

 

今回大腸がんで起こる症状、初期症状に関して解説します。

 

ステージごとに起こりうる症状についても解説しました。

大腸がんの初期症状とは

大腸がんによる血便

 

初期症状とは、初期の段階ででる症状ということです。

初期の大腸がんには基本的に症状はありません。

 

症状がないスクリーニングで行った内視鏡検査でみつかるのが初期の大腸がんです。

症状がでてからみつかる大腸がんは基本的にステージ2以上で、残念ながら初期ではありません。

 

大腸がんの症状は、がんが大腸の管腔をしめる、

あるいは表面から出血をきたすことででてきます。

 

残念ながら症状がでた時点である程度大腸がんは進行しているということです。

 

大腸がんの症状

 

大腸がんの症状とは

 

 

大腸がんの症状として多いものは、出血、腹痛、貧血、排便習慣の変化です。

一般的ではない症状には腹部膨満感、吐き気という症状の方もいます。

 

 

大腸がんと排便の変化

 

排便習慣の変化は大腸がんの最も一般的な症状です。(74%)

 

「毎日排便がある方が、便秘するようになってきた」

「最近下痢ばかりするようになった」

 

もともとと違う下痢、便秘などの症状が続く場合に大腸がんを疑います。

 

 

大腸がんと出血

 

出血も大腸がんの可能性があります。

さらに直腸出血と排便習慣の変化の組み合わせは、一つの症状ではないですが、

大腸がんでよく起こる症状の組み合わせです。

 

 

大腸がんと腹痛

 

腹痛があると大腸がんを心配される方は多いです。

「ときどき下腹部が痛くなるから大腸がんが心配。」

 

実は、腹痛は大腸がんででにくい症状です。

腹痛は大腸がんの3.8%程度にみられたと報告されております。

腹痛と血便などの症状と合わさって現れることはあります。

 

大腸がんで腹痛が起こる場合、腹膜炎、閉塞、穿孔による症状でかなり進行した状態です。

腹痛の症状の前にほかの症状が現れるからではないかと言われています。

 

 

大腸がんの可能性が高い症状

 

ポイント

 

どの症状、徴候が大腸がんの可能性が高いかの論文があります。

大腸がんの尤度比、ざっくりいうと何倍大腸がんの可能性が高いか報告されています。

 

血便5、体重減少1.4、腹痛5.3、下痢9.1、便秘8.18、直腸検査異常4、

腹部圧痛6.1、ヘモグロビン<9g/dL5.31、便潜血陽性70でした。

 

下痢や便秘も比較的大腸がんの可能性がある症状です。

なんと、便潜血陽性のほうが圧倒的に可能性が高いです。

 

便潜血陽性は一番大腸がんの可能性が高い

便潜血検査

 

便潜血陽性はなんと、腹痛や出血、下痢、便秘などよりもはるかに大腸がんの可能性が高い所見です。

便潜血陽性はおよそ70倍も大腸がんの可能性が高い症状、徴候と報告されています1)。

 

たしかに便潜血陽性はよい検査ですが、下痢や便秘、血便などより

はるかに大腸がんらしい徴候というのは私も意外でした。

 

 

大腸がんのステージごとの症状

 

 

大腸がんステージ0の症状

リスクファクター

 

大腸がんステージ0は、がんが粘膜内にとどまっている状態、

大腸がんの壁深達度がTisという状態です。

 

この状態がもっとも初期の段階です。症状は全くありません。

ステージ0であれば内視鏡での治療で治療が完了します。

 

 

大腸がんステージ1の症状

 

大腸がんが

T1:粘膜下層にとどまり固有筋層に及んでいない状態

T2:がんが固有筋層を超えて浸潤し、これを超えない

壁の深達度がT1,T2でリンパ節転移がないというのがステージ1の方です。

 

ステージ1は多くが深達度T1リンパ節転移なしの方で、T2になるとリンパ節転移が増えます。

大腸がんT1のリンパ節転移率は10%程度、T2のリンパ節転移率は30%程度です。

 

大腸がんステージ1も大半が無症状です。

 

 

大腸がんステージ2,3,4の症状

 

大腸がんが固有筋層を超えて浸潤しているか、リンパ節転移か、遠隔転移がある状態です。

この状態であれば大腸閉塞の症状や出血、体重減少など

がんや転移の状態によってさまざまな症状を起こします。

なかには無症状のこともあります。

 

残念ながらステージ2の症状はこんな症状、

ステージ4になるとこんな症状がでてくると決まったものがあるわけではありません。

 

症状がでてきた場合、大腸がんは基本的にステージ2以上です。

 

まとめ

 

笑顔

 

症状がでてきた場合、大腸がんはある程度進行した状態です。

 

大腸がんの症状として最も多いのは排便習慣の変化です。

 

大腸がんの可能性が最も高い兆候は便潜血陽性です。

 

便潜血陽性は、血便や腹痛などよりもはるかに大腸がんの可能性が高い症状です。

検診でひっかかった際にはかならず大腸内視鏡検査を受けてください。

 

  1. Hamilton W, Round A, Sharp D, Peters TJ. Clinical features of colorectal cancer before diagnosis: a population-based case-control study. Br J Cancer 2005; 93:399.
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