ブログ

下痢が続く原因、大腸がんの可能性について

local_offer内視鏡ブログ

 

  • 下痢がしばらく続いている

  • 元気だけど下痢が続いていて心配

 

 

このような症状はございませんか。

 

下痢は日常的に起こる症状です。

下痢が続くことにはどのような原因があり、

 

どういう症状であれば医療機関を受診したらいいのか、

気になる方が多いと思います。

 

今回下痢が続くとき、慢性的な下痢について解説します。

 

 

院長 中谷 行宏

私は消化器病専門医として診療を行っております。

内視鏡専門医として月200件以上の胃カメラ、大腸カメラ検査を行っています。

 

 

 

下痢が続く、慢性的な下痢とは


慢性的な下痢とは3週間以上毎日軟便の状態とされています。

 

下痢の症状がでる代表的な胃腸炎はおおむね2週間以内に改善します。

急性の下痢に分類されます。

 

3週間は一般的な感覚からするとかなり長いかもしれません。

 

下痢が1週間続く


下痢が1週間続くことは実はそれほど珍しいことではありません。

 

ひどい腹痛があったり、血便があったり、

全身的な状態が問題なければ心配することはありません。


胃腸炎や一時的な体調の変化でも起こる症状です。

 

下痢が続く原因となる食べ物


香辛料を使った辛い料理、脂肪分が多い食事、

お酒などを摂取すると大腸の蠕動運動が刺激され、下痢になりやすくなります。


とくに過敏性腸症候群といって、

もともと腸の刺激に過敏な方は下痢になりやすい傾向があります。

 

下痢が続くこととストレスの関係


ストレスは脳から腸への神経伝達にセロトニンという

神経伝達物質が深く関係しているとされています。

 

ストレスなどの刺激を受けることで

腸の粘膜からセロトニンが分泌され、

腸の運動を活発になることで腹痛や下痢になります。

 

 

下痢が続く原因

下痢が続く原因として多い病気は、

過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患、吸収不良症候群(慢性膵炎など)、

慢性感染症(特に免疫不全の患者)とされています。

 

過敏性腸症候群

 

過敏性腸症候群の方は、排便習慣の変化(下痢や便秘、下痢や便秘が交互になる)と

それに伴う腹痛の症状があります。


下痢は通常、起きている時間帯に起こることが多いです。

また、多くは、朝または食後に発生します。

 

便意の切迫感があったり、一度に便ができらず、

でそうででない状態が続く場合があります。

 

症状がつよい場合には便失禁が起こるときがあります。

過敏性腸症候群には、下痢型、便秘型、交代型、ガス型があります。

交代型の人が下痢型になることもあります。


通常、高校生、大学生や新社会人のころに症状を経験します。

若者に多いですが、高齢者でも起こることがあります。

 

胃腸炎のあとに過敏性腸症候群を発症することもあります。

 

大腸がんと下痢の関係


下痢が長く続く場合、大腸がんが原因の可能性があります。

大腸がんで下痢が起こる理由は、大腸の管腔内がほぼ腫瘍で満たされた状態となり、

便が通れないほど通り道が細くなっている状態です。

 

この状態になると下痢でないと通過できないため、下痢の症状となります。

完全につまる大腸イレウスの直前に起こる症状です。

 

ただ、便秘で下痢にならないまま大腸イレウスになる方もおり、

 

下痢は大腸がんに特徴的な症状ではありません。

 

炎症性腸疾患

 

炎症性腸疾患(IBD)は主に潰瘍性大腸炎とクローン病を指します。

潰瘍性大腸炎とクローン病のほとんどの症例は、15歳から40歳の間に発症します。

50歳から80歳の間に2番目のピークがある二峰性の年齢分布があります。

 

クローン病

 

クローン病は、口から肛門周囲までの全消化管に潰瘍ができる可能性がある疾患です。

下痢、腹痛、体重減少や発熱は、典型的な症状です。

 

小腸だけに病変がある小腸型は診断が難しく

診断確定までに何年もかかることもあります。

 

潰瘍性大腸炎

 

病歴は通常、血便、下痢症状のエピソードがある方が多いです。

発症は20歳以下の若年の方が多いです。

 

病変は直腸から連続していることが特徴であり、

大腸内視鏡検査を行い確定診断をすることができます。

 

顕微鏡性大腸炎

 

顕微鏡的大腸炎は通常、中高年に発生します。

Collagenous colitisともよばれる疾患です。

PPI(プロトンポンプ阻害薬)による薬剤性が日本では多く報告されています。


大腸内視鏡検査では、わずかな浮腫、縦走の潰瘍の所見がみられる場合があります。

生検(組織検査)を行うことで確定診断を行うことができます。


PPIのなかでも特にランソプラゾール(タケプロン)で発症することが多い疾患です。

PPIの中止や、薬剤の変更で改善することが多いです。

 

 

吸収不良症候群

 

吸収不良の古典的な症状は、適切な食物摂取にもかかわらず、

悪臭を放つ便、および体重減少です。

 

日本では比較的まれ疾患です。

アルコール性の急性膵炎を繰り返した慢性膵炎の方にみられることがあります。

 

胆嚢摘出術後の下痢 

 

胆嚢摘出術を行うと、胆汁をためておく胆のうがなくなるため、

胆汁が直接かつ継続的に小腸に排出され、回腸末端の再吸収能力を上回ることがあります。

 

結腸内の胆汁酸の増加は下痢を引き起こします。

多くの場合、下痢は数週間から数ヶ月の間に解消または大幅に改善します。

コレスチラミンやなどの胆汁酸結合樹脂による治療が効果的です。

 

慢性感染症

 

いくつかの持続性感染症(例、 C.ディフィシル、カンピロバクター、アメーバなど)は、

慢性下痢に関連している可能性があります。

免疫が低下している高齢者の方に発症する傾向があります。

 

大腸内視鏡検査を行うべき症状

慢性下痢の方で、以下のような当てはまるものがあれば、

根底に器質的病因がある可能性があります。

  • 50歳以降の発症年齢
  • 直腸出血または下血
  • 夜間の痛みや下痢
  • 進行性腹痛
  • 原因不明の体重減少、発熱、またはその他の全身症状
  • 検査室の異常(鉄欠乏性貧血、CRPの上昇)
  • 炎症性腸疾患(IBD)または結腸直腸癌の家族歴

 

このような特徴、症状が下痢とともにあれば大腸内視鏡検査をおすすめしております。

 

腹痛がある場合、腹痛がない場合

下痢が続き腹痛もある場合


下痢のときだけ腹痛がある場合はそれほど心配する必要はありません。

 

ただ、下痢をしないときでも腹痛がある場合、腹痛が悪化している場合は、

重大な病気がある可能性があり、早めに医療機関を受診してください。

 

腹痛がないが下痢が続く場合


何年も前から下痢が続いているが、それほど気にされていないという方もいらっしゃいます。

多くは過敏性腸症候群が原因のことが多いです。

 

いままで通常便だったのに急にしばらく下痢が続くようになった場合には、

下痢を起こす根本的な原因がある場合があります。

 

早めに医療機関受診をおすすめします。

 

まとめ


下痢が長く続く、一般的に多い原因は過敏性腸症候群です。

若い方で、緊張や、電車にのると下痢をするような典型的な場合は、

それほど心配はいりません。

それ以外の方は基本的に一度医療機関を受診してみてください。

TOPへ