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便秘の原因と解消法、おすすめの便秘薬について

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  • 日頃からあまり便がでない

  • 便秘でおなかがはってきて、薬をのむことがある

 

 

 

このような症状はありませんか?

便秘は日常的に起こることが多い症状の一つです。

おおよそ10-15%程度の方に便秘症状があるといわれています。

 

今回、便秘の原因、解消法、市販で購入できるおすすめの便秘薬について説明します。

 

 

院長 中谷行宏

私は、消化器病専門医として、おなかの診療を行ったおります。

内視鏡専門医として月200件以上の胃カメラ、大腸カメラ検査を行っています。

 

 

 

慢性便秘症とは

 

便秘の症状が慢性的に続くことによって、

学業、就労、睡眠といった日常生活に影響を及ぼす症状をきたし、

検査、食事・生活指導または薬物治療が必要な状態です。

 

このようにガイドラインでは、定義されています。

便秘とは「便が硬くなり、排便の回数が減り、便がすっきりでないこと」です。

要するに慢性便秘症とは、「便秘によって日常生活や身体に支障をきたす状態」です。

 

「自発排便が週3回」「兎糞状または硬便」などで診断されていますが、

明確に基準を満たしていなくても、日常生治に支障をきたしていれば

治療介入することが望ましいとされています。

 

逆に便がでていなくても本人が困っていないと治療の必要はありません。

便秘のために本人が日常的に困っている慢性便秘では治療が必要です。

 

便秘の原因

 

 

便秘の症状で外来を受診される方は多いです。

国や地域のよって違いがあるものの、便秘の症状がある方は、10−15%程度です。

若い女性に多いのは確かですが、男女ともに年齢に伴って増加し、

高齢の方では男女差がなくなるとされています。

 

 

便秘症のリスク要因

 

 

 

  • 女性

  • 身体活動性の低下

  • 腹部手術歴(特に大腸手術や婦人科手術など)

  • 加齢

 

 

 

が挙げられています。

 

また特定の基礎疾患や薬によっても引き起こされます。

 

 

便秘の原因となりうる基礎疾患

 

  • 糖尿病

  • 甲状腺機能低下症

  • うつ病などの精神疾患

  • パーキンソン病

  • 強皮症などの膠原病

 

 

が挙げられています。

 

糖尿病による自律神経障害が進行すると便秘や下痢などの排便異常がおこることがあります。

 

便秘を起こす薬剤

 

 

代表的なものとして

 

 

  • 抗コリン薬

  • 向精神薬

  • オピオイド(医療用麻薬)

  • 抗がん剤

 

があります。

 

抗コリン薬は蠕動運動や腸液分泌を抑制するため便秘を引き起こします。

向精神薬も抗コリン作用を有しているものは便秘を誘発します。

 

オピオイドも蠕動運動が低下することで便秘を起こします。

咳止めで使われるコデインや腰痛など痛み止めとして処方されるトラマドールなどは

よく処方されるため内服中は便秘に注意が必要です。

 

 

便秘と大腸がんや炎症との関連

 

 

  • 排便習慣の急激な変化

  • 血便

  • 6ヶ月以内の予期せぬ3kg以上の体重減少

  • 発熱

  • 関節痛

  • 腹部腫瘤の触知や腹部の波動、直腸診による腫瘤触知や血液の付着などの身体所見

  • 50歳以上の発症

  • 大腸疾患の既往や家族歴

 

便秘に加えて上記のような症状や危険因子がある場合は

大腸がんや炎症性の疾患かどうかを評価するため大腸内視鏡検査を行いましょう。

 

便秘を解消するには

 

生活習慣の改善、食事

 

便秘を改善するためには食事・運動などの生活習慣改善が大事です。

特に運動療法、特に有酸素運動が症状の改善に効果があると報告されています。

 

また、RCTでは、1日15分、週5回の腹壁マッサージが慢性便秘症の症状改善に有効であることが報告されています。

 

十分量の食物繊維(25g)を摂ったうえで、

多くの水分摂取(平均2.1L)と通常の水分摂取(平均1.1L)を摂取すると

多くの水分摂取をしたほうが排便回数が増加すると報告されています。

 

日本人の平均の食物繊維は15g程度であり、なかなか難しいかもしれません。

現在の厚生労働省の目標食物繊維摂取量は約20g程度とされています。

 

またキウイフルーツやプルーン、オオバコの摂取の有効性が示されています。

日本人においてのプルーンでの便秘改善が報告され、食物繊維の多い食事や、

ヨーグルトなどの乳酸菌食品の有効性が報告されています。

 

食事、運動、水分摂取に関してはエビデンスのレベルが高くはないものも含まれています。

必ずしもだれもが効果があるわけではありません。

症状が強い方では薬での治療が必要になる方もいらっしゃいます。

 

おすすめの便秘薬

今回は医療機関に受診しなくてもドラッグストアで購入できる便秘に効果がある薬剤について紹介します。

 

プロバイオティクス(整腸剤)

 

要するにビオフェルミン、ラックビー、ビオスリーなどの整腸剤のことです。

 

慢性便秘症を対象としたRCTを用いた複数のメタアナリシスにおいて、

プロバイオティクスは安全性があり、

排便回数の増加、便秘症に伴う腹部症状の改善、便通通過時間の短縮に

貢献することが示されています。

 

具体的にビオフェルミン、ラックビー、ビオスリーなどがありますが、

どんな整腸剤がよいか、差があるのかについては明らかになっていません。

 

緩下剤(塩類下剤)

 

浸透圧性下剤は、浸透圧勾配を利用し、

腸内で水分分泌を引き起こすことで便を軟化させ、排便回数を増加させます。

腎機能障害を有する高齢者には高マグネシウム血症のリスクがあり、注意が必要です。

 

日本で使用されることが多い酸化マグネシウムは

胃酸と反応して塩化マグネシウムとなったあと、

浸透圧により腸壁から水分を奪い、腸内用を軟化させることで作用します。

 

このため酸分泌抑制剤であるプロトンポンプ阻害薬といっしょに飲むと

効果が減弱します。

 

酸化マグネシウムは高齢者、腎機能低下には注意が必要ですが、

基本的に安全なお薬です。

 

耐性、依存性がなく、とても安価であり、まずは酸化マグネシウムを使ってみてください。

 

刺激性下剤の定期的な使用は避ける

 

刺激性下剤にはアントラキノン系(センナ、センノシド、ダイオウなど)と

ジフェニール系(ビサコジル、ピコスルファートナトリウムなど)があります。

 

これは、大腸の筋層間神経叢に作用して蠕動運動を促進し、

腸管からの水分の吸収を抑制し、下痢をおこします。

 

効果は短期間で得られますが、

刺激性便秘薬には耐性や習慣性が生じるため長期投与は避けるべきです。

 

便秘に使用される漢方薬には大黄がふくまれています。

大黄の主成分はセンノシド類であり、刺激性便秘薬と同様の注意が必要です。

 

市販薬で効果がない場合

 

市販薬で効果がない場合、刺激性の便秘薬を使用し続けるのはよくありません。

以前は酸化マグネシウムと刺激性便秘薬程度しかありませんでしたが、

近年は病院で処方できる便秘薬の選択肢が豊富になっております。

 

便秘症状でお悩みの方は、医療機関を受診してください。

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