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下腹部痛は何科を受診したらいいのか

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下腹部痛の悩み

 

おなかの下の部分、下腹部の痛みは、比較的よくある症状の為に我慢してしまう人が多いです。

 

自然と治る場合も多いですが、原因によってはそのままにしておいてはいけない場合があります。

下腹部痛は様々な病気が原因になって起こります。

 

受診する科は、婦人科泌尿器科消化器内科があげられます。

耐えられないぐらいの痛みがあって救急車を呼ぶと、救急診療科にみてもらうかもしれません。

 

何科に受診したらいいか迷いますよね。

何が原因で痛いのかで受診する科は違います。

 

「うちの科が原因ではない」と言われると他の診療科をまた受診しなければいけません。

お忙しい方も多く、できれば一つの病院や短い時間で済ませたいです。

 

下腹部痛で何科を受診すればよいか説明します。

何科を受診したらいいか悩んだときの助けになれば幸いです。

 

 

院長 中谷行宏

消化器病専門医、内視鏡専門医として診療を行っております。

月200件以上の胃カメラ、大腸カメラ検査を行っています。

 

下腹部痛以外に症状がある場合

 

選択肢がたくさんある

 

下腹部痛以外に症状がある場合と、下腹部痛のみの場合にわけて説明します。

下腹部痛以外に症状がある場合は受診する科が比較的わかりやすいです。

 

吐き気、便秘、下痢、血便を伴う

 

下腹部痛に加えて吐き気や便秘、下痢、血便の症状を伴う場合には

消化器内科の受診をおすすめします。

小腸や大腸の炎症、感染が関与している可能性があります。

 

吐き気、下痢の症状がある場合には胃腸炎や、過敏性腸症候群の可能性があります。

下腹部痛に加えて便が出ない場合には便秘による腹痛の可能性が考えられます。

 

潰瘍性大腸炎、大腸がんの場合には下腹部痛に加えて血便がでることがあります。

 

 

排尿時の痛み、頻尿、左右どちらかの腰痛の症状があるとき

 

排尿時の痛み、頻尿、左右どちらかの腰痛の症状があるときは

泌尿器科の受診をおすすめします。

 

排尿時の痛みがあるときは、尿路感染症の可能性が高いです。

左右どちらかに急激な差し込むような痛みがある場合、代表的な疾患は尿管結石です。

泌尿器科の受診をおすすめします。

 

 

性器からの出血、おりものなどの症状がある場合

 

性器からの出血や、おりものなどの症状がある場合は

産婦人科を受診してください。

 

月経困難症、子宮筋腫、子宮頸がん、子宮体がん、

子宮外妊娠などの婦人科疾患の可能性があります。

 

発熱の症状がある場合

 

下腹部痛に加えて発熱がある場合は、多くの疾患の可能性があります。

消化器内科では憩室炎、虫垂炎、泌尿器科では腎盂腎炎、

産婦人科では骨盤内炎症性疾患などが考えられます。

 

なかなか発熱だけで受診する科をすることが難しいことに加えて、

現在は新型コロナウイルス感染症の影響で発熱があると受診に制限がある場合があります。

 

下腹部痛以外に症状がない場合

疑問が多い男性

 

下腹部痛以外に症状がない場合は受診する科を決めるのはなかなか難しいです。

調べても悪い病気ばかりでてきて不安だけが増えます。

 

確実に何科に受診したら大丈夫と断言できませんが、

可能性が高い診療科を提案いたします。

 

40歳以下の女性

 

40歳以下の女性の下腹部痛は産婦人科の受診をおすすめします。

 

40歳以下の女性の腹痛の原因の45%は産婦人科疾患が原因とされています。

下腹部痛に限るとは産婦人科疾患の頻度がさらに高くなります。

 

まず産婦人科を受診すべきとお伝えするのは若い女性の下腹部痛の中には、

緊急性が高い疾患の可能性があるためです。

 

女性に特徴的な下腹部痛の原因となる疾患

 

  • 生理痛
  • 排卵痛
  • ピルの服用による痛み
  • 月経困難症
  • 子宮頸管炎
  • 子宮筋腫
  • 子宮内膜症
  • 子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん
  • 卵管炎
  • 卵管嚢腫
  • 卵巣茎捻転
  • 異所性(子宮外)妊娠
  • 卵巣出血
  • 骨盤腹膜炎
  • 更年期障害

 

 

 

女性の下腹部痛は多くの原因によって引き起こされますが、

とくに緊急の治療が必要な3つの産婦人科疾患について説明します。

 

子宮外妊娠

 

産婦人科における緊急性が高い腹痛を起こす疾患の1つで、

全妊娠の1~2%に起こるとされています。

 

精卵が子宮体部内膜以外の場所に着床する状態で、

妊娠5~8週ごろに症状出現することが多いです。

卵管妊娠の破裂症例は腹腔内出血が持続するため 緊急手術が必要です。

 

卵巣腫瘍捻転

 

緊急手術が望ましい救急疾患の1つ です。

卵巣腫瘍の約10%で発症し、95%が良性腫瘍とされています。

5~6cm以上で捻転を起こしやすくなるとされています。

突然の腹痛で受診する例が多いですが、

数週間前より軽度の腹痛や腰痛を認めていることも多いです。

 

卵巣出血

 

子宮外妊娠、卵巣腫瘍捻転ほどではないですが、

多量の出血の場合は緊急手術になることがあります。

黄体期(次の月経が始まる前の2週間以内)に多いとされています。

 

主な原因は 卵巣の黄体内に出血し、卵巣が破裂し腹腔内へ出血している状態です。

典型例は黄体期の性交渉後におこる腹痛とされています。

 

子宮外妊娠、卵巣腫瘍捻転、卵巣出血という緊急性が多い疾患の好発年齢が、

40歳以下の女性ということが、まず産婦人科を受診していただきたい理由です。

 

消化器内科でみる腹痛のみが起こる疾患

 

過敏性腸症候群

多くが下痢や便秘、おなかの動きの不調を伴う場合が多いですが、

便通異常をあまり伴わない場合もあります。

 

虫垂炎

典型的には痛みの部位が心窩部痛から右下腹部に移動すると言われています。

もともと右下腹部の痛みがある場合や、発熱がない場合もあります。

 

大腸憩室炎

下腹部の一部が持続的に痛む場合大腸憩室炎の可能性があります。

発熱がある場合もありますが、痛みだけの場合も多いです。

 

大腸がん

進行した状態の大腸がんであれば腹痛の原因となることがあります。

初期の大腸がんは基本的に無症状です。

 

まとめ

健康な子供

 

 

下腹部痛以外に下痢、血便などの消化器症状があれば消化器内科を受診してください。

 

排尿時の痛み、頻尿、左右どちらかの腰痛の症状があれば泌尿器科

 

性器出血やおりものの症状があれば産婦人科を受診してください。

 

下腹部痛以外に症状がない場合

40歳以下の女性は産婦人科を受診してください。

 

その他の方は消化器疾患の可能性が高く、消化器内科を受診してください。

 

当院では当日に炎症の有無が評価できる採血検査を行うことができます。

必要があれば総合病院に当日紹介したり、

画像専門の医療機関で検査を当日か、

遅くとも数日以内に受けていただくことができます。

 

下腹部痛で何科を受診しようか迷った際の助けになれば幸いです。

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