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大腸内視鏡検査に鎮静剤(麻酔)を使うべき人の5つの特徴

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  • 大腸内視鏡検査って鎮静剤使ったほうがいいのかな?

  • 鎮静剤ってふらついたり効きすぎたりしないか不安

  • 麻酔が効かなかった人もいるみたい

 

 

 

大腸内視鏡検査のときに鎮静剤(麻酔薬)を使うべきか解決する記事を書きました。

 

本記事を読めば、鎮静剤を使ったほうがよい方の特に使ったほうがよい方の特徴や、鎮静剤のメリット、デメリットがわかります。

 

院長 中谷行宏

消化器病専門医、内視鏡専門医です。
月200件以上の胃カメラ、大腸カメラ検査を行っています。

 

 

大腸内視鏡検査で鎮静剤を使用するメリットとデメリット

 

 

大腸内視鏡検査では、下剤を飲んで大腸が空っぽになってからおしりから内視鏡を入れて検査を行います。

まず大腸の一番奥までいってから、戻ってくるときに空気(または炭酸ガス)を入れて観察を行います。

 

内視鏡を奥まで進めて行く際に腸を伸ばされることで痛みができます。

大腸の中をみるために空気を入れることでお腹の不快感がでます。

 

鎮静剤は、意識を低下させ、不安、緊張を和らげ、痛みを軽くするために使用します。

 

メリット①:大腸内視鏡検査の検査の不安、痛みが軽くなる

鎮静剤には鎮静作用があるため、大腸内視鏡検査の痛みが軽くなります。

抗不安作用もあるため不安感も軽減されます。

 

 

メリット②:定期的な検査が受けやすくなる

痛み、不安が減ることで次回の大腸内視鏡検査のハードルが下がります。

痛み、不安が減ることで再検査率が上がることが報告されています。

 

 

メリット③:診断の質が向上する

鎮静剤を使用して眠っている状態であれば、医師に余裕が生まれます。

検査を行う医師の安心感、余裕に繋がり診断の質の向上、治療が行いやすくなります。

 

 

 

デメリット①:検査当日の運転ができない

検査が終了して30分~1時間休んで意識、ふらつきが改善したとしても、判断力が低下している可能性があります。

とっさの正確な判断力が不可欠であり、当日の車の運転は避けてください

 

 

デメリット②:意識の低下、血圧低下、吐き気がでることがある

鎮静剤の作用で、意識が低下したり、血圧が低下、呼吸が浅くなることがあります。

適度であればよいのですが、効きすぎると副作用がでます。

 

 

デメリット③:検査後しばらく休む必要がある

ふらつきや眠気、ぼーっとした状態が改善するまでに30分~1時間程度の時間がかかります。

帰宅するまでその分よけいに時間がかかるということです。

 

 

大腸内視鏡検査鎮静剤を使うべき人の5つの特徴

 

 

 

  • 女性

  • 若い方(40歳以下)

  • 痩せ型の方

  • 婦人科疾患術後の方

  • 検査前に不安の強い方

 

 

 

この5つの特徴に当てはまる方は大腸内視鏡検査のときに痛みがでやすいと報告されています1)-3)

 

若い方は不安からか痛みを感じやすい傾向があると思います。

痩せ型の方、女性の方は、大腸内視鏡が腸を伸ばされる骨盤のスペースが狭いので、痛みを感じやすいです。

 

術後の方、とくに子宮、卵巣などの婦人科疾患の術後の方は癒着が起こりやすいです。

術後の癒着で腸が固定されているため、腸が引っ張られることで痛みを感じやすいと考えられます。

検査前に不安が強い方も、不安が痛みに繋がりやすいと言われています。

 

こちらに当てはまる方は特に鎮静剤を使ったほうがよいです。

 

ドルミカムとプロポフォールの特徴と比較

 

 

大腸内視鏡検査で使用されることが多い薬剤の特徴、比較について説明します。

 

鎮静剤① ドルミカム

特徴

ドルミカムは大腸内視鏡検査で使用する鎮静剤として最も一般的な薬剤です。眠くなり、不安を抑える効果があります。

さらに健忘効果、つまり忘れさせる効果があります。

検査のときにつらかったとしても検査が終わると覚えていないことがあります。

 

デメリット

・半減期が比較的長く、使用量が多いと起き上がれないことがあります。

・しばらくふらつきが残ることがあります。

・拮抗薬もあるが、効果は限定的です。

 

 

鎮静剤② プロポフォール

特徴

催眠作用、鎮静作用、抗不安作用がありますが、鎮痛効果はありません。

覚醒の質がよく、吐き気、嘔吐の副作用が少ないです。

主に肝臓で代謝されます。

 

デメリット

・注射のときに血管痛があることがあります。

・拮抗薬がありません。

・大腸内視鏡検査の保険適応がありません。

 

※プロポフォールを使用しても医療機関は患者さんに料金は請求できず、自腹になるということです。

大腸ポリープを切除した場合には、手術の扱いになるため、保険適応になります。

 

ドルミカムとプロポフォールの効果の比較

自動車運転シミュレーターを使用した検討では、ドルミカムは53%が投与後2時間でも注射前の状態に回復しませんでしたが、プロポフォールは60分で全例注射前の状態に改善したと報告されています。

 

プロポフォールはすっきり効果がきれる薬です。

 

大腸内視鏡検査で麻酔が効かないとは

 

 

麻酔が効きにくいひとは、向精神薬、ふだんから眠剤を使用している場合です。

この場合、鎮静剤の必要量が増加すると報告されています。

 

大腸内視鏡検査は、胃カメラ以上に医師の技術が痛みに関連します。

同じ量の鎮静剤を使っても、医師の技量によって痛みがでる、でないということが起こりえます。

 

プロポフォールは、ペンタゾシン(鎮痛剤と)ドルミカムの併用とくらべて、完全に覚醒して、病院から帰るまでの時間がかなり短く、嘔吐などの副作用も少なかったと報告されています。

 

痛みがでやすい方であっても、プロポフォールであれば、副作用や目が覚めるまでの時間を心配せず十分な量の鎮静剤を使用して楽に検査をうけていただくことができます。

 

まとめ

 

 

どんなに医師の技術を高めても、すべての方が無痛とはいかないのが大腸内視鏡検査の難しいところです。

しかし、十分な技術と、効果の高い鎮静剤を使用すれば、ほとんどの方に大腸内視鏡検査を楽にうけていただくことができます。

 

また検査してみようと思っていただくためには、鎮静剤を使用して大腸内視鏡検査をうけていただいたほうがよいです。

 

1)Takahashi Y et al. Dis Colon Rectum 2005;48:855-9. 

2)Park DI et al. Eur J Gastroenterol Hepatol 2007;19:695-9. 

3)Eckardt AJ et al. Endoscopy 2008;40:98-105.

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