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便潜血検査1回だけ陽性でも大腸カメラを

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今回代表的ながん検診の一つである便潜血検査について説明します。

一般的に便潜血検査で陽性の場合、精密検査として大腸内視鏡を受ける必要があります。

 

便潜血検査が陽性でも、「もともと痔があるからひっかかったんだろう」と考える方もいらっしゃるようです。

今回便潜血検査の精度や陽性となる原因、大腸がんの割合などについて解説します。

 

 

院長 中谷行宏

消化器病専門医、内視鏡専門医として診療をしています。

月200件以上の胃カメラ、大腸カメラ検査を行っています。

便潜血検査とは

 

 

便潜血検査とは、肉眼的にはわからないような微量の血液が

便に含まれているかどうか調べる検査です。

大腸がん検診の手段として広く行われています。

 

現在日本では、抗ヒトヘモグロビン抗体を用いて、

便中に含まれるヒトヘモグロビンを特異的に検出する免疫法が使用されています。

 

この方法では、食事や薬剤制限を行う必要はありません。

主に 2 日法が用いられ、1 日 1 回便の採取を行い、

1 回でも陽性となれば精密検査を行う方式です。

 

排便のときに出血していれば見てわかると思いますが、

「潜血」とは目に見えないほどのわずかな血液が混じっているということです。

 

便潜血陽性所見は便通異常や腹痛などの他の大腸がんによる症状と比較して、

より早期から出現するため大腸がんの早期発見に役立ちます。

 

 

便潜血検査の精度

 

 

便潜血陽性と診断された場合、どれくらいの確率で病気が見つかるのでしょうか。

便潜血検査が陽性になる確率は約5~10%とされています。

陽性の方のうち大腸がんが見つかる確率は3-5%程度、大腸ポリープがある確率は50%程度とされています。

 

なんと半分の方には前がん病変である大腸ポリープが見つかります。

 

便潜血と痔の関係

 

 

「便潜血検査が陽性でした。でももともと痔があるからひっかかったと思う。」

痔で陽性になったと判断したいところですが、

便潜血検査での出血が痔によるものか大腸の別の病気によるものか判断はできません。

 

痔の出血は,便通過時や通過後に肛門から出血する場合が多く、

血液は便の表面のごく一部に付着するため、また肉眼的に確認しやすいです。

出血時の便や付着した箇所を避ければ、陽性率は高くないとされています。

 

痔の自覚症状があっても便潜血が陽性の方は5%程度とされています。

自覚症状があっても便潜血陽性にならないことが多いです。

 

また、痔だと自分で思っている目にみえる出血が、大腸がんによる出血の場合もあります。

 

 

便潜血検査が1回だけ陽性

 

 

1回だけ陽性の場合、大腸がんの可能性はそれほど高くありません。

大腸内視鏡検査を行い大腸がんが見つかるのは3-5%程度とされています。

 

便潜血検査は、1回だけでは見逃しが増えてしまうため、2回行うことで見逃しを減らしています。

2回行うことで、進行がんの約80%、早期がんの約50%が発見できるとされています。

2回とも陽性の方は40%程度と1回陽性の方と比べて格段にリスクが高いとされています。

 

 

便潜血検査の再検査について

 

 

「便潜血陽性だったけど、あのときはきっと下痢だったから再検査をしたい。」

便潜血検査の再検査を希望される方がたまにいらっしゃいます。

再検査を考える理由はたしかにわかります。検査のときがいつもと体調が違うこともあるでしょう。

 

便潜血検査は精度が高い検査ではありません。

便潜血検査を2回行うと、進行がんの約80%、早期がんの約50%が発見できます。

しかしこれは、進行がんの約20%、早期がんの約50%が見逃されるということです。

 

便潜血は少なくとも1回陽性の場合、大腸内視鏡検査を行うという基準です。

残念ながら再検査して陰性でも1回でも陽性であったという事実は変わりません。

便潜血陽性と診断された場合には必ず大腸内視鏡検査を受けるようにしましょう。

 

 

便潜血陰性だと大腸がんはないのか?

 

 

「最近便通がよくないから便潜血検査受けたら陰性だったから大丈夫ですよね。」

と聞かれることがあります。

さきほどと同様に、便潜血検査では、進行がんの約20%、早期がんの約50%が見逃されます。

1回検査を行うだけで大腸がんかどうかを判断できるほど便潜血検査の精度は高くありません。

便通異常や血便など大腸がんを疑う他の症状があるときは、大腸内視鏡検査をうけるようにしてください。

 

 

便潜血検査の受診率と大腸がん予防について

 

 

便潜血検査陽性の際の精密検査受診率は60%程度とされています。

初めて陽性になったときは見送って、次の年度の検査で考えるという方や、

繰り返し陽性になっても放置している方が少なからずおられます。

 

便潜血陽性を10ヶ月以上放置すると大腸がんのリスク、ステージが悪化したと報告されております。

便潜血検査は、毎年受けた場合、大腸がん死亡率が33%減少するとされている大変有効な検査です。

 

まとめ

 

 

便潜血検査で陽性と診断された方は、大腸がんの可能性があります。

登戸なかたに消化器・糖尿病内科では多くの下剤を用意し、下剤を飲まない大腸検査、

鎮静剤を使った楽な内視鏡検査を行っております。

楽に検査を受けられるような工夫を行っております。

 

便潜血陽性と診断された方は放置せずに大腸内視鏡検査をうけましょう。

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