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大腸がんの原因と予防する方法について

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  • 親が大腸がんだったから私も大腸がんにならないか心配

  • 以前大腸ポリープがあった。大腸がんにならないように何に気をつければいいです?

 

 

大腸がんの原因やならないように

どうすればいいか気になる方から質問されることがあります。

 

がんの中で頻度が高い大腸がんの原因、具体的な予防するための方法について解説します。

 

院長 中谷行宏

私消化器病専門医、内視鏡専門医として勤務しております。

月200件以上の胃カメラ、大腸カメラ検査を行っています。

 

 

大腸がんとは

 

 

大腸は、柔らかい便から水分を吸収して固形の便として排泄する機能があります。

大腸は、結腸と直腸に分けられます。

 

大腸がんはかかる人が増加しているがんです。

アメリカでは、一生で約4%の人がかかるとされています。

大腸がんは大腸の一番表面の粘膜に発生するがんです。


良性のポリープが大きくなって発生するものと、

正常な細胞が直接がん細胞に変化して発生するものがあります。

多くはポリープが大きくなって大腸がんが発生します。

 

高齢化と食生活の欧米化が関係していると考えられています。

 

大腸がんは早期発見できれば完全に治ることが期待できる癌です。

 

 

大腸がんの原因

 

 

大腸がんのリスクが高くなるものについて解説します。

できるだけ確実にリスクがあがるものについて解説します。

 

 

  • 年齢

  • 遺伝

  • 大腸がんの既往歴

  • 大腸ポリープの既往歴

  • 肥満

  • 糖尿病

  • 肉類・赤身肉

  • 喫煙

  • アルコール多飲

 

 

 

年齢

 

年齢は大腸がんの大きな原因です。

大腸がんにかかるのは、40代後半から増加しはじめ、高齢になるほど増加します。

 

アメリカでは、50歳以下の大腸がんと診断された方の86%は症状があったと報告されています。

大腸がんはまだまだ早期発見されていません。アメリカでは45歳での早期検査を推奨されています。

 

遺伝

 

遺伝性大腸がんの家族性大腸腺腫症、リンチ症候群が有名です。

ですが、全体の5%程度と言われています。

その他の遺伝子変異による大腸がんもあります。

 

大腸がんの既往

 

大腸がんの既往がある方は5年で3%程度、

新たな大腸がんの可能性があります。

 

大腸ポリープの既往

 

10mm以上のポリープや絨毛、管状絨毛腺腫や

上皮内がんがある方は大腸がんのリスクが3.5~6.5倍と言われています。

 

 

肥満

肥満になると大腸がんになりやすいと海外では報告されています。

日本においても、BMI25以上で2.6-3.6%大腸がんのリスクが上昇したと報告されています。

Annals of Oncology 2012年23号479-90ページ

 

糖尿病

 

2型糖尿病の方は大腸がんのリスクが20%程度高いと報告されています。

糖尿病の方はインスリンが効きにくくなっており、

インスリンの過剰な分泌が発がんに関与しているのではないかと言われています。

 

肉類・赤身肉

 

毎日100g以上肉類を摂取する男性、赤身肉を毎日80g以上とる女性は

大腸がんが増えると報告されています。

 

加工肉(ハム・ソーセージなど)は日本人の一般的なレベルでは

大腸がんのリスクにならないと報告されています。

 

喫煙

 

男性、女性ともに喫煙する人はしない人と比べ、

大腸がんの発生が1.4倍であったと報告されています。

 

たばこを吸うと、タバコの煙にさらされる肺、のど、期間以外に

直接触れることがない大腸の粘膜からも発がん物質が検出されています。

この発がん物質によりがんが発生しやすくなると考えられています。

 

アルコール多飲

 

日本酒の換算で1日1合以上飲酒すると、飲酒しない人と比べ、

大腸がんの発生が1.4倍になると報告されています。

 

メカニズムははっきり断定されていませんが、アルコールの代謝産物の

アセトアルデヒドに発がん性があることが確認されております。

アルデヒドの作用で葉酸の働きが阻害され、遺伝子の低メチル化が起こるためと考えられています。

 

大腸がんの予防

 

 

これをすると大腸がんが減るのではないかという要素です。

予防する因子も確実性が高いものをあげています。

 

 

 

  • 運動

  • 食事(野菜、果物)

  • バイアスピリン

  • メトホルミン

 

 

 

 

運動

 

運動は確実に大腸がんを減少させる因子と報告されています。

 

身体活動量の増加が大腸がんを予防する理由としては、

身体活動量を増加させることによる

高インスリン血症や肥満の予防などが考えられています。

 

報告により差がありますが、日常的に運動することで27%大腸がんが減少するとされています。

 

食事

 

野菜、果物を1日少なくとも100gとることで、

0.92倍わずかに減少すると言われています。

 

バイアスピリン

 

バイアスピリン、これはいわゆる血液をさらさらにする薬剤です。

心筋梗塞や脳梗塞の再発予防として処方されることが多い薬剤です。

 

日本における前向きの無作為比較試験で、大腸がんの前駆病変の

大腸ポリープを40%減少させたと報告されています。

 

日本人でのデータもはっきりしており、大腸がんの予防としてはほぼ確実です。

ただ、出血しやすくなること、保険診療としては予防のために処方できないことがデメリットです。

 

メトホルミン

 

糖尿病の治療薬の一つであり、古い歴史があり、安全性が確かめられている薬剤です。

 

バイアスピリンと同様に大腸ポリープの予防効果が認められています。

大腸ポリープを切除した患者151人にメトホルミン250mgを服用してもらい、

1年後の大腸ポリープ再発率を調べています。

 

偽薬を飲んだグループの52%に対し、メトホルミンを服用したグループは32%と

大腸ポリープが約40%少なかったと報告されています。

 

バイアスピリン、メトホルミンは今後家族性大腸腺腫症やリンチ症候群など

とても大腸がんができやすい人への予防薬として承認されることが期待されています。

 

大腸ポリープ切除

 

 

大腸内視鏡検査を受けると大腸がんが減少することが確実とされています。

大腸ポリープを切除した方は15年の長期で

大腸がんの死亡率が53%低下すると報告されています。

 

また、すべてのポリープを切除することで、約6年後の

大腸がん発生が76-90%減少すると報告されています。

これはいずれもnew england journal of medicineというとても有名な雑誌に掲載されている論文です。

 

大腸内視鏡検査で大腸ポリープを切除することで、

大腸がんの予防になることは確実で、有効性の高い方法です。

 

まとめ

 

 

大腸がんにならないようにするには、リスクが高くなることを避け、リスクが低くなる生活習慣、行動が重要です。

 

適度な飲酒をして肥満にならないようにして、肉類を食べすぎず、糖尿病にならないようにします。

定期的に運動をして、野菜、果物を摂取することです。

文章にすると健康的な生活をすることです。

 

薬剤での予防はバイアスピリン、メトホルミンは有効です。

ただ、保険適応外であり、出血のリスクがあり、今のところはおすすめできません。

 

大腸内視鏡検査は大腸ポリープを切除することで確実に大腸がんの予防になります。

気になる症状があれば検査をおすすめします。

 

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