-
今朝朝起きると胃もたれがして食欲がない
-
最近胃が重くてすぐに消化されない気がする
このような症状はありませんか?
だれしも胃もたれの症状を一度は感じたことがあると思います。
少し食べ過ぎた、飲みすぎた後などに感じる身近な症状です。
今回胃もたれの原因、胃もたれのときに食事、飲み物、治療について説明します。
胃もたれとは

食事をしたあとに「胃が重い」「食べ物が残っている感じがする」
「すぐお腹いっぱいになってしまう」「ムカムカする」
といった不快感が続く状態を一般的に胃もたれと言います。
医学的には**消化不良(ディスペプシア)**と呼ばれ、日常的にみられる症状の一つです。
胃もたれは一時的なことも多いため、
市販薬や様子見で済ませてしまう方も多く、
医療機関を受診しないまま経過することも珍しくありません。
しかし胃もたれの背景にはいくつかの原因があり、
そのうち約15%程度の方は慢性的に症状が続くタイプ(機能性ディスペプシア)とされています
胃もたれ(消化不良)
症状そのものは命に関わるものではありませんが、生活の質を落とす原因となります。
胃痛や胸やけと混同されることもありますが、
• 胸やけ:みぞおちから胸にかけて“焼けるような”感じ(胃酸逆流)
• 胃痛:キリキリ・チクチクした痛み
• 胃もたれ(消化不良):重さ・張り・つかえ・早期満腹感
と異なる症状です。
特に以下の症状を伴う場合は、単なる胃もたれではなく他の疾患の可能性もあります:
• 黒色便(タール便)
• 嘔吐を繰り返す
• 貧血
• 夜間の痛み
• 食欲低下
この場合は胃カメラなどの評価をおすすめします。
胃もたれの原因

胃もたれは「胃が弱っているから」だけではなく、複数の要因が影響します。代表的な要因は以下の通りです。
機能性ディスペプシア(慢性タイプ)
胃もたれを訴える方の75〜80%は胃カメラで異常が見られないタイプとされ、
これを機能性ディスペプシアと呼びます。
代表的な症状は:
• 早期満腹感
• みぞおちの不快感
• 胃がつかえる感じ
このタイプは病変が見つからないため「原因がない」と誤解されがちですが、
• 胃の知覚過敏(脳腸相関)
• 胃酸の影響
• ストレス・不安
• 自律神経の乱れ
• 胃内細菌叢の変化
など複数の要因が関与していることがわかっています
食習慣・食べ方
胃に負担がかかる代表は:
- 脂っこい料理
- 炒め物・揚げ物
- ラーメン・中華
- 甘いもの・クリーム
- 早食い、大食い
- 夜遅い食事
- 食べてすぐ横になる
これらは胃の排出を遅らせるため、胃に食べ物が滞留しやすくなります。
胃酸の影響
胃酸が増えすぎたり逆流したりすることで
胃の不快感につながることがあります。
胸やけを伴う場合、胃食道逆流症が疑われます。
ストレス・睡眠
胃は自律神経で動いており、脳との関係が深い臓器です。
ストレスや不安、睡眠不足は胃の知覚過敏を
引き起こし、胃の動きが低下することがあります(脳腸相関)
ピロリ菌感染
消化不良の背景として検査すべき因子の一つです。
• 胃炎
• 胃潰瘍
• 十二指腸潰瘍
の原因となるため、除菌が有効なことがあります。
加齢による胃機能低下
高齢者は胃酸分泌低下や胃排出遅延が起こりやすく、
胃もたれを自覚しやすくなります。
内服薬の影響
例:
• NSAIDs(鎮痛薬)
• 鉄剤
• 抗生物質
• カルシウム拮抗薬
• GLP-1製剤(肥満・糖尿病治療)
などは胃症状を起こすことがあります。
胃がんなど鑑別が必要な疾患
頻度は多くありませんが重要な疾患として:
• 胃がん
• 食道がん
• 胃潰瘍
• 胆石・胆嚢炎
• 膵疾患
などがあります。
特に50歳以上で初発の胃もたれは評価をおすすめします。
胃もたれがあるときの食事・飲み物

胃もたれは何を食べるかだけでなく、どう食べるかでも変わります。
控えた方がよいもの
• 揚げ物、脂っこいもの
• 生クリーム・洋菓子
• 辛いもの
• アルコール
• コーヒー
• 炭酸飲料
• 玉ねぎ、キャベツなどガスが出やすいもの
• 食後すぐの乳製品
脂質・刺激物・ガスは胃に負担をかけやすい組み合わせです。
胃にやさしい食品
• おかゆ
• 雑炊
• 茶碗蒸し
• うどん
• 白身魚
• 豆腐
• 大根
• 卵
• 味噌汁
• よく煮た野菜
日本人の伝統食は胃に負担が少ないものが多いです。
食べ方のポイント
• よく噛む(20〜30回)
• 腹八分目
• 早食いを避ける
• 夕食は就寝の2〜3時間前まで
• 食後すぐ横にならない
これだけで改善する方も一定数いらっしゃいます。
胃もたれに対する薬

原因によって使う薬は異なります。
代表的には
① 胃酸を抑える薬
• PPI(プロトンポンプ阻害剤)
• H2ブロッカー
胸やけやみぞおちの不快感を伴うタイプに有効です。
ガイドラインでも第一選択薬として位置付けられています
② 胃の動きを助ける薬
• 消化管運動促進薬
(胃の排出を助ける目的)
食後の膨満感が主体の方に使用します。
③ 消化酵素薬
油ものが苦手な方や高齢者に処方することがあります。
④ ピロリ菌除菌
検査が陽性の場合は除菌を行うことで改善することがあります。
⑤ ストレス背景に対する薬
脳腸相関の影響が強い方では
• 抗うつ薬(低用量)
• 漢方薬
などを併用することがあります。
UpToDateでは PPI →抗うつ薬 → 運動促進薬 の順が推奨されており、医学的根拠も示されています。
ただし患者さんごとに調整が必要です。
まとめ

胃もたれは身近な症状ですが、背景は単純ではなく
• 胃酸
• 胃の動き
• 自律神経
• ストレス
• 食生活
• ピロリ菌
• 加齢
など複数の要因が関与します。
特に
• 長く続く
• 繰り返す
• 年齢が50歳以上で初発
• 体重減少や貧血を伴う
場合は一度消化器内科での評価をおすすめします。
胃カメラで異常がなくても治療手段は多く、
生活の質が改善するケースはよくありますので、
気になる症状があればお気軽にご相談ください。
院長 中谷行宏
私消化器病専門医としてお腹の症状の方の診察を日々行っています。
内視鏡専門医として月200件以上の胃カメラ、大腸カメラ検査を行っています。